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日本人の偉大さ(3/6) ~「道」の精神~ [哲学]

 日本人は、元来すべての仕事や作業を“道”(どう)にしてしまう。「道(どう)」じゃないことも「道(どう)」に変えてしまうのだ。つまり、一般的に武道や作法などの「〇〇道」という概念を、他すべての作業や行動にも当てはめて追求してゆく癖がある。そして、その作業の中のひとつひとつ動作にも、心構えや基本動作などを細かく決めて、極めたがる傾向がある。
 特に重要なのは「心構え」だ。たかが「お茶くみ」、たかが「コピー」だが、日本人にとっては、されど「お茶くみ」、されど「コピー」なのだ。その「あるべき姿」の究極を求めていく。その作業の「あるべき姿」を考え、意識的に「あるべき姿」を目指すのである。あるべき姿を高めると、そこには「心」が伴っていないとダメだという概念が芽生える。作業の完璧さだけではなく、そこに「心がないとダメ」という風になるのだ。それはまさに、あるべき理想の姿を求め、それに向けて精進してゆく姿勢がある。意識が高まると、心と行動の一致を重視し、「作業の乱れは心の乱れ」とまで言い切ってしまう。「あるべき姿=プロの仕事」と置き換え、哲学にする人さえもいる。その境地には、際限がない。
 例えば、具体的にコピーで説明してゆこう。新入社員が、上司より書類のコピーを頼まれたとする。「道の精神」でこの上司命令を遂行するなら、まず上司に呼ばれた時点から、行動開始となる。よって、その上司への返事からがコピー作業だ。そして、コピー原紙の受け取り方は両手でとか、その作法は細かい。次に受け取ったコピー原紙をまず見て、原紙が曲がって印刷されたものなら、コピーするときには真っ直ぐになるように置くとか、原紙の文字が薄ければ、濃くして印刷するとかだ。原紙にこのようなイレギュラーな問題があれば、自動送り装置は使用しないで、手作業に切り替える。で、要求の部数のコピーが完了したら、コピー機を元の状態に戻すことも重要だ。「次の人が使いやすいように」ということに気を遣う。そして、コピーをきちっと揃え、ホッチキスで左上1cmのところを、角とホッチキスの留め部分が正三角形になるように留める。最後に見直しし、上下逆さまじゃないか、ページが揃ってるかなどを確認し、全体をクリップで束ねてから、上司に渡す。上司が不在であれば、上司の机の上に机の向きと平行に書類を置かねばならない。  で、部数とコピー完了のメモをつけ、一目でそれとわかるように置く。しかも、書類の内容が外部秘なものであれば、裏にして置く。会社によって多少作法は異なるが、ここまでできればまずは及第点だろう。
 

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