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「座敷わらし」を見た!(下)  [謎の事件]

 昨日の続きだ、怖いけど話を続けてゆこう。
 まず我々は人数が5人だったので、部屋の4隅に一人ずつ配置し、最後の一人は部屋の真ん中で、電灯のスイッチ係だ。その部屋の電灯は、電灯の下に垂れている紐を引っ張ってオンオフする形式だった。何か起こったら、すかさず明かりをつけるという役割だ。そして、それぞれの立ち位置をじゃんけんで決めるのだが、この時ほど緊張したことはかってなかったと記憶する。最初に勝った奴は当然電灯係をゲット。皆が一番いやがった立ち位置は、第4走者だ。スタート地点にだれかいたなら、生きた心地がしないからだ。誰もがこの位置を避けたかった。アニキは運良く次に勝ったので、第3走者を選んだ。一番負けた者がやはり、第4走者になった。じゃんけんが終わってもなかなか皆開始の決心がつかず、時間が流れた。意を決して、始めようということになり、皆、それぞれの配置に着いた。電灯係の合図で明かりを消した。古い宿のため、雨戸がしっかり閉められていたので、案の定真っ暗だ。目が慣れてもなにも見えない。最初の第1走者が、「いくぞ!」という言葉とともの歩き始めた。壁伝いに歩き、第2走者にタッチしたのがわかった。そして、第2走者が歩き始めた直後、悲鳴が聞こえた。皆その声にびっくりしたが、電灯係がすぐに明かりをつけた。そして、その光景が明るみになった時、特に怪しい物はなかった。ただ、第1走者がスタート地点近くでうずくまって震えていたのだった。第1走者の震えはなかなか治まらなかったが、その時点でゲームを中断し、第1走者の回復を待った。平穏に戻った第1走者に、「どうしたのか」と、話を聞いた。
 実はこの第1走者は、第4走者をびっくりさせてやろうと思って、第2走者にタッチした直後に、スタート地点へ引き返したのだ。で、スタート地点で何者かにぶつかったというのだ。それは物体ではなく、人型の物であったと。そしてその者にギュッと体を捕まれたというのだ。体格は子供ではなく、大人ほどあったという。その第1走者の男は、すかさずその人型の何かを引き離した。スタート地点にいたのは、間違いなく我々の仲間ではない。明かりをつけた時、第2走者は壁伝いに歩いている途中で、アニキと第4走者はまだそれぞれの角にいたのだから。
 この話を聞いたあとは、我々はゲームを続ける気力もなく、酒もすっかり醒めてしまった。少し飲み直した後は、当然明かりをつけたまま寝たのである。
 姿は見ていないが、あれは一体何だったのか?今でも気になるし、夜にはあまり思い出したくない思い出である。アニキは、この事件以来、目に見えない物ってあるかもしれないという考えが強くなっていった。
 勇気がある諸君よ、一度このゲームを試みてほしい。座敷わらしの姿を確認することができるかもしれない。幸運を祈る。
 しかし、あのときはホントに怖かった。

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「座敷わらし」を見た!(上) [謎の事件]

 堅い話が続いたので、今日は息抜きをしよう。心地よい話題で和んでもらう。
 さて、「座敷わらし」って知ってるか。古い家に住む子供の妖怪だ。霊感の強い人には見えるらしいが、普通の人は見ることができない。その正体が何かはわからないが、どうも危害は加えないらしい。こんな話を子供の頃に聞いたことあがる。そしてアニキが大学生の時、座敷わらしを発見する方法という話を聞いた。どんな方法かというと、真っ暗にした部屋の四隅に一人ずつ立つ。最初の一人が、壁伝いに次の角まで歩き、そこにいる人にタッチする。タッチされた人は、壁伝いに同じように次の角まで歩いていき、その角にいる人にタッチする。で、タッチされた人は同じように歩いて、次の人にタッチするのだ。これが不思議な事に、永遠続くのである。これは不思議なのだが、部屋の中には4人しかいないのに、永遠に続くのはおかしいのだ。よく考えてくれ、最初の人が出発した場所には人はいないのだから、4人目の人が最初の人の場所にたどり着いた時、だれもいないのが自然である。にもかかわらずだ、だれかいるということなのだ。そして、そのだれかとは、「座敷わらし」であるということ。座敷わらしは子供の妖怪なので、遊ぶのが好きらしく、出没するのだという。
 こんな話をアニキは4人の仲間とスキーに行った時に聞いた。夜、部屋で飲んでいる時にこんな話になった。当時泊まっていた宿は、学生が泊まる格安部屋で、とくかくぼろい。すきま風も時々入ってくるし、暖房があまり効かない湿った部屋だ。いかにも…だ。話の流れから、試してみようという流れになった。やるかやらないかでもめたが、やる派がじゃんけんで勝ったので、やることにした。当然アニキは臆病者なので反対したが、酒が入って気が大きくなった連中の勢いを止めることはできなかった。
 古いスキー宿って、ホントにやばいぞ。
(明日に続く)

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