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アニキの組織論(5/5) ~組織の舵を取る~ [哲学]

 話を戻そう。小さい組織を大きく発展させてきた社長は、昔のイメージをそのまま持っているから、全く人の言うことをきかない。社長とは勝っ手なものだからしかたないのだが、いつも自分が正しいと思っている。社長は不甲斐ない会社の現状を見ると悲しく写るのであるが、それは自業自得である。小さな組織時代は皆で強力しあってフォローしてきてうまくいっていたのに、なぜ今それができないのか?と社長は悩むのだが、社長自身が変わってしまったことに本人は気付いてない。だから、ここで社長が昔のように、「みんなで助けあうぞ。」と声をあげても、会社は生き物だから昔と違って変化しているのでうまくいかない。気持ちが変わってしまった社長についてゆく部下はすでにいない。が、部下達も生活があるから、淡々と業務をこなすだけだ。しかも会社は大きくなったために実際の業務量も多いので、まわりのことなど考えてる余裕もない。ここに、かつての創業当時の一枚岩がなくなって、無味乾燥としたただの魂の抜けた会社組織が残る。
 そうだ、会社が生き物であるということの本質がここにある。創業当初の熱い想いが消えてしまったために、会社が抜け殻同然となったのだ。抜け殻ではあるのだが、業務自体は残っているからそれをこなすことでしばらく会社は存続する。なぜ会社が思い通りしかなくなったのかわからないまま社長も高齢となり、次の社長にバトンタッチする。そうなると、次の社長の色に次第に染まってゆく。生え抜きの創業幹部が社長になれば昔に戻そうとがんばるが、途中の抜け殻状態の時代のツケが足を引っ張り、志半ばにしてこれも引退だ。そうやって次々と社長は代わり、カリスマ性を備える者の登場を待つことになる。この組織の流れは、歴史が証明している。
 結局こうなってしまった要因、それは「トップの理念のブレ」だ。創業当時の熱い社会貢献的な意識や使命感は、現実の経営の中で変化を起こし、「もうけること」が何より優先していったため、理念がブレ、又は消失に至る。これが最も致命的なのだ。経営コンサルタントはここをよく強調する。アニキも同感だ。理念やビジョンとは経営哲学である。じゃ、哲学とは何か。哲学とは、「行動時の判定基準」である。個人の哲学においても、物事の判定基準であるから、己の哲学というものは人生の中においては常に構築してゆかねばならない。学問における哲学とは違うのだ。いつも、判定を他人に委ねているようでは、一人前ではない。理念とは魂。会社の重要決定の方向性はその魂によって判定すべきなのである。変化への柔軟性においては、理念は関係ない。理念を変えるのではなく、理念に沿って作戦を変えるのである。理念と作戦は別物である。理念は軸であり、軸足はしっかりと地に着け、作戦を柔軟に変えるのである。
 つまり、トップ理念のブレによる哲学の消失が、会社という組織を歪ませる。組織とは海を航海する船である。理念のブレとは、舵がきかなくなること意味する。世の中は大海であり、世の中の流れが海流だ。だから、船は船長がバカでも勝手に進むことになるのだが、どこへ向かうのかはわからない。海には海流があるから会社という船は常に流されてゆく。そして、至るところで魂のない乗組員が乗ってきてそれぞれが勝手な意見を言うために、船長が指差した目的地には向かわず別の場所に到着する。そうして会社は紆余曲折していろんな形に変化してゆく。それは創業者が望んだ形なのかどうかは別にして魂がないままどこかへ進む。そんな組織を利口な経営者が引き継いだ時に、腐りきったその組織の状態を見て、配られたポーカーのカードを全部変えることを決断するかもしれない。
 だから、アニキは「組織は生き物である」と定義するにすぎない。

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