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アニキの組織論(4/5) ~エアポケット~ [哲学]

 組織は生き物だから意思がある。組織は時間と共に変化してゆくから、トップの思う通りに動かなくなる。それはなぜか!今日はその原因を追及してゆこう。
 いくつか原因はあるが、まずは言葉の定義である。どんな組織でも、トップが自分の思い通りに組織を動かそうと思ったら、ルールを作ってそれで縛ろうとする。それ自体は悪くないのだが、ここに一つ問題がある。ルールの中に出てくる言葉をきちんと定義付けることだ。ここがあいまいだと、ルールを読む人によって理解が異なる。解釈が異なるから、自分に有利に解釈しようとする。結果、統制は取れずにルールが意味をなさない。で、トップはさらに細かいルールを作ることになる。そしてルールは煩雑になり膨大な量に増えるから、ルール全体を理解し運用する専門家が必要になってくる。悪循環もいいところだ。だから、いくつにも理解できないように言葉は定義付けなければならない。
 次に責任の範囲の明確化である。組織が大きくなると「エアポケット」と呼ばれる問題が必ず生まれる。要は、各部所・各人の責任範囲の隙間だ。だれでも自分達の責任範囲には注意を配るものだが、範囲外には注意が向かない。業務の責任範囲を明確にすればするほど隙間ができて、どうしてもエアポケットができる。しかし、そこを監視するのはあまり意味がない。日々の業務ではどうしてもイレギュラーなことが起こる。イレギュラーな問題が発生すると大体エアポケットが発生する。だから、エアポケットができることを避けられない。エアポケットができないようにするのも大事だが、できたエアポケットの対処の方が重要で、大概の企業は対処重視で組織をを作っているはずだ。
 しかしエアポケットを見つけて対処するのだが、旗振る上司は、協力して「うまくやれ」とか、「いい方法を考えろ」とか、とにかく「何とかしろ」とか、抽象的な圧力しかかけない。曖昧な指示だけ出して上司は逃げるものだからエアポケットはなかなか閉じないのだ。アニキは思うが、部門間を跨ぐその隙間のエアポケットの問題なら、その両方の部門を見ている上司がその穴を埋めるべきだと思う。まあ、その辺りの役職となると、昼夜と社長や役員に張り付かないといけないポジションの人だから、社内の危機とかには関心がないんだろうと思う。社長や役員の機嫌取りに忙しくてそれどころじゃないのだ。エアポケットは管理ミスでもあるから、その火消しを真剣にやらないといけないのだが、それよりも、上役の機嫌を取って、多くのミスを許してもらう事の方がそれ以上に大事だからだ。ま、その辺りは「役員の謎」でまた説明しよう。
 組織が小さい会社でまだ黎明期なら、それぞれ各人が気を配りながらエアポケットに注意して仕事をする。エアポケットができたらすぐにトップに報告するという姿勢もできている。社長やトップも緊張してるから、想定させるエアポケットに注意が向くため、対処することはそんなに難しくない。エアポケットはどんな組織にも必ず存在し、エアポケットが出てくる度につぶしていってるのが現状ではないかと思う。問題が起こる度に責任の所在を明らかにし、再発しないように責任を持たせていくという繰り返しになる。
 結局、極力エアポケットが出てこないように細かく責任範囲を決めて行くために、ルールや手順がややこしくなるのは避けられない。ルールブックが分厚くなるのを避けることはできないし、体系的にそれらを理解・運用・管理してゆく部門も必要となる。先の話とは矛盾するが、大きな組織はどうしてもシンプルにはできない。法律だってそうだ、5人ぐらいの小さな組織なら、「盗んじゃやダメ」「人をキズつけたらダメ」ぐらいで済むが、国家のような1億人の組織となると社会も複雑となり、百科事典並みの法律がいくつも必要となり、それを管理する特別な資格を持つ専門家集団も要る。
 組織という生き物の手足を縛ることがどうぢても必要となるのだ。ルールを厳しくしているのは、実は自分達なんだということだ。
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