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「オーナー社長」という生き物の生態(5/11) ~オーナーの財布~ [哲学]

 給料の真実を話そう。給料をもらえて当然だと思っているのは、大企業で働くサラリーマンの感覚だ。労働の対価として当然の権利だと主張できると思っているのは、大企業サラリーマン、若しくは大企業から別大手企業に転職したサラリーマンだ。大企業勤めのサラリーマンや転職先が大手企業のサラリーマンはそれだけでラッキーだ。その感覚で、そのままゆけばよい。だが、大企業からオーナー企業の転職したサラリーマンは、そうはいかない。給料や待遇について一切文句は言えない境遇となる。なぜ言えないのか?って、それは「オーナーが給料の話題が嫌い」だからだ。給料については、過去ブログ「サラリーマンの謎『給料』」で詳しく話しているから、ぜひ読んでみてくれ。
 だから、元々最初から中小のオーナー企業で働いている従業員は、給料について文句は言わない。というよりは、言えない。ここにオーナー企業の謎がある。一般的な正論は、アメリカの影響を受けた日本は労働法も欧米型だから、労働者の権利として給料は当然だと教育を受けている。しかし、前述の通りオーナー企業での現実は違う。給料のことでオーナーに意見するだけで嫌われてしまう。それは根が深い。
 大企業では、社長以下全員がサラリーマンだから、給料の話題はまかり通るのだが、オーナー企業では、サラリーマンがサラリーマン社長に意見するのとは訳が違う。サラリーマン社長は所詮雇われだ。従業員の気持ちが多少理解できるから、受け止めてはくれる。話を聞いてくれる土俵はあるということだ。しかし、オーナー社長はそんな土俵は持ち合わせていない。オーナーはサラリーマンじゃないから、全く話にならない。
 前回の内容の通り、給料とはオーナーのポケットの金、若しくはオーナーの財布の金だ。それに手を伸ばして「俺にもっとよこせ」と言っているのと同じだ。オーナーから見たら、「人の金をよこせとは何という奴だ!」と、盗人か恐喝にしか聞こえないのだ。そこには、完全に遺恨が残る。従業員はただ、「オーナーばかり贅沢しているなら、俺たちにも少し分けてくれてもいいじゃないか」というだけの事だが、このことでオーナーの心を逆撫でしてしまう。そしてオーナーは、「俺の財布の金なんだから、俺が自由に使って何が悪い」と、こう来る。全くもって話が噛み合わない。
 世の中見渡せばわかるだろ、社会保険未加入会社の多いことや、退職金を減らすために基本給を低くして職能給を上げたり、定期健康診断は一番安いプランしか受けさせなかったりということが起きる原因のすべては、「会社のあらゆるお金は自分の財布の金」という根底があるからだ。極力、従業員のために遣われたくない。これが本音だ。
 だから給料も、「オーナーの財布の金の一部である」という認識がどうしても必要となる。

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