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「オーナー社長」という生き物の生態(4/11) ~オーナーの本音~ [哲学]

 そして最後のタイプは、突然オーナーになってしまったという人だ。事情はいろいろある。跡継ぎがいない先代オーナーが引退して、番頭さんの自分が会社を買い取ったとか、あるいは出向先の会社の社長から出資を頼まれたとかだ。事情付きオーナーとか、棚ぼたオーナーなどと呼ばれる。このタイプのオーナーはとても堅実だ。元は筋金入りのサラリーマンだ。わがままオーナーの下で、長くナンバー2をやってきた苦労人が多い。この人のやる事には必ず、「誰かに頼まれて」という枕詞が付く。それくらい人間的に信頼されているから、信念や理念にブレはない。部下も、「この人には心底ついてゆく」という心意気を持つ。とにかく任された会社を存続させることに注力するから、浮ついたことは一切しない。ケチでしぶちんだが、自分にも厳しいから、誰も文句は言えない。実直な会社運営を心がけ、信者も多いから、この人がいる限り問題は起こらない。どんな不況が来ようが、じり貧でも何とか会社を残す。それぐらい手堅い。手堅すぎてチャンスがあってもそれに食いつかない。そんな危険な賭をするより足下が大切なのだ。頼まれたなら嫌とは言えない義理人情で、地味なオーナーを演じることになる。このタイプの問題は、自分の次の代だ。足下ばかり見ているために、先が見えなくなっている。もし、自分の息子にでも継がせようものなら、上記の二代目お坊ちゃんの例のようになる。しかも、そんな坊ちゃんを飼っておける余裕もないから、即刻会社は泥船化して、沈んでいくことになる。
 オーナーの成り立ちから大別すると大体前述の3タイプになるのだが、その人間性も様々だ。大金を持つという悪魔のささやきにより、「人間の本性」が出る。さて、オーナーという変な生き物はこのようにして生まれるのだが、この生き物に共通する性質がある。その共通する醜い性質を見てみよう。
 まず、この生き物を特徴づける最大性質がある。それは、会社のお金は自分のもの、会社の備品も全て自分のものだという概念だ。元が貧乏であったなら、なおさらその性質は顕著に表れる。売り物である商品だけでなく、事務所の土地・建物から会社の備品や光熱費まで、あらゆるものが自分のポケットの金だ。ましてや、接待費や交通費などの経費なんかは、自分の財布から抜き取られているような感覚すら持っている。当然、従業員の給料も同じだ。自分の財布から出て行く金だから、できるだけ少ない方がよい。
 会社でかかる金をできるだけ減らしたいとオーナーはいつも思っている。だから、それをムダに使う奴と給料や待遇に文句を言う奴を許せないのだ。
 もっと言うと、オーナーである自分以外が使う金は極力認めたくない。これがオーナーの本音だ。

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