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「オーナー社長」という生き物の生態(3/11) ~お坊ちゃん~  [哲学]

 次のタイプは二代目のお坊ちゃんだ。社会人になっていきなり親の会社に入る人はいない。大概、どこかの大企業で修行する。親の会社では「お坊ちゃん、お坊ちゃん」と周りが気を遣うから、本人が社長を引き継いだ時には、裸の王様やバカ殿になってしまう。そこで、初めは別社会で下積みを経験しに行くわけだ。社会人としてのイロハもそうだが、酒の席のマナーや礼儀なども勉強してこいということになる。しかし、お預かりの大企業としては、大事な取引先の御曹司だ。何かあったら大変だ。そして、5年ほどでお帰りになるということだから、大事に扱う。そうなると、大した仕事はさせないのが本音だろう。やっぱり周りも気を遣うしな、当たり前と言えば当たり前だ。配属先の上司も、お預かりのお坊ちゃんの教育係には気を配る。間違っても、体育会系の指導員は付けない。それに、厳しい教育を禁止させたり、怒っちゃいけないとか、とにかく小うるさいのだ。「先輩の酒が呑めないのか!」的なノリは特に御法度だ。お預かりの箱入りお坊ちゃまが社長の関係者だったりしたらもっと大変だ。へたなことをして、お預かり先の会社の耳に入りでもすれば、自分の人事考課にも響く。だから、通り一遍のことしかやらせない。上司はハラハラドキドキだ。
 特に、企業理念や会社文化たるものを骨身に染みつかせるという指導はしない。なぜなら、それはやってもムダだからだ。しばらくするといなくなる奴に、真剣にスパルタで教える上司や先輩はいない。徹底的に教えたり鍛えたりする仕事は、本当に骨が折れる作業なのだ。生半可な根性では教える方も学ぶ方も立ちゆかない。人一人を一人前に育て上げる難しさは並大抵のものではない。お預かりのハナタレ小僧はそのままお帰りいただくのが世の常だ。だから、本気で教えることはしない。結局のところ、本当の下積みを経験しないままお帰りいただくとなる。で、親の会社に帰りしばらくすると、いきなり常務とか専務となってしまう。「会社は人」という理念がわからないまま戻ったハナタレ小僧は、従業員の価値なんかわからない。だから、やはりバカ殿になる確立は高い。そういう人ばかりじゃないが、まあ、そういう人が「多い」という話だ。人の価値の重要性は、やっぱり自分で経験してものにしてゆくしかないのだ。
 従業員がいかに大事かという概念は、人に教えてもらうんじゃなく、自分が壁にぶつかって初めてわかることになる。従業員が財産だということに気づかないバカ社長じゃ、その会社の将来の発展などありえない。そんな初歩的なことは、歴史上の名経営者は皆気づいていることだ。気づかなきゃ会社を潰すか小さくしてしまう。だから、二代目はそういう機知に富んだ頭の良さが必要だということになる。

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