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サラリーマンの武器「右左攻撃」(4/5) ~最も怖いその性質~ [哲学]

 この武器の特徴をもう一度まとめておこう。破壊力はすさまじいものがあるのだが、1発でダメージを与えるタイプの武器ではなく、ボクシングのジャブのように回数を重ねて相手を弱らせるという性質を持つ。そしてこの武器は、攻撃した相手の外表面を破壊する武器ではない。攻撃相手の内面を破壊する。破壊の様子は目に見えないところに、その恐ろしさがある。攻撃跡が目に見えないから、周囲は全く攻撃に気がつかない。本人のみに確実にダメージを与えてゆく。その攻撃対象は相手の心だ。心を攻撃する武器のため、精神にダメージを受け、心に傷がつく。さらに、カウンターパンチのごとく、相手の攻撃を利用するミラー型武器である。相手の命令が強ければ強いほど、教え込む思いが強ければ強いほど、跳ね返ってくるダメージは大きくなる。つまり、「こいつには真剣に教えてやろう」という思いが大きければ、それを右左攻撃で返された時、その失望感も相まって心が折れるのだ。そして、それが繰り返されることにより、毎日が悩みの日々となり、人間不信に陥る。そのあげく、カラダに変調をきたして病気になってしまうという流れだ。反対に、右左攻撃を使った側はピンピンしている。この攻撃にはあまり罪悪感を感じないという傾向がある。攻撃した者の心にも負担をかけないという特徴があるから、かなり始末が悪い。
 だから、これを無意識にやってしまう奴がいる。というより、このサラリーマン社会では無意識に使っている奴の方が多い。無意識に上司を攻撃しているのだ。すると段々、上司の体調が悪くなってくる。上司自身も、部下の右左攻撃によりカラダの具合が悪くなってるということに気がついていない。年に一度の健康診断で、胃潰瘍と言われたり、糖尿病と言われたりするのだ。右左攻撃を無意識に仕掛けた部下は、それを聞くと、「課長、カラダを大事にしてくださいよ。無茶したらダメですよ。」と、無責任な言葉をかけてしまい、上司の体調はさらに悪化するのだ。この右左攻撃は無意識に成り立ってしまうところにもその怖さはある。無意識の攻撃の方がよっぽどたちが悪いのだ。さらに上司自身も、部下の右左攻撃により自分の体調が悪くなったとは全く思ってない。いたわりの言葉をかけてきた部下こそが、右左攻撃を仕掛けてきた者かもしれないのだが、上司は逆にありがたいなどと思ってしまう。
 実は、右左攻撃の最も肝心なところは、仕掛ける側と受ける側のお互いが、その攻撃に気づかないというところにある。お互いが無意識である場合が大いにあるのだ。だから、攻撃を仕掛けた者が、「なんで、課長は体調が悪いのだ?」と本気で気にしてしまうという現象が起きる。これでは、誰も防ぎようがない。
 ここに、右左攻撃の最も恐ろしい性質が潜んでいるのだ。

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