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傑作「私をスキーに連れてって」に酔え!(4/4) ~時代の産物か~ [映画・ドラマ]

 この映画を見終わった後、自分が原田知世ばりの彼女を連れてスキーに行く。又は、ゲレンデで原田知世似の娘と出会うはずだと、本気で考えていたから、すぐにでも出掛けたくなったものだ。健さんの任侠映画を見た後に、映画館から出てくる男達はみな、肩をいからせて歩くのと同じだ。自分が三上博史になったつもりでいるのだ。都会のOL達と週末にスキーに出掛ける。その言葉だけで、なんだか、楽しそうだよな。そう、「OL」や「女子高生」という言葉には言霊が宿る。「ありがとう」という言葉だけに言霊が宿るわけではない。この映画の中に登場する「OL」「スキー」「ロッジ」という単語にも魂は宿る。その言葉を聴くと心がウキウキして、最高にモチベーションが上がるという「パブロフの犬」となる。映画の中にちりばめられた言霊キーワードを駆使した戦略的映画ともいえる。
 繰り返すが、当時はアニキも大学生から社会人になる頃だった。夏は海、冬はスキーという浮ついた人間であったことは否定しない。アニキだけではない、当時の若者の男達の行動は皆似ていた。だから、嗜好も似ていた。現在のように各人の嗜好が細かく分かれていなかった。音楽の好みもしかりで、サザンが流行りユーミンが流行ったのも、それを聴かないと田舎者扱いされたからだ。今の時代のように、好みが多岐にわたって分かれてしまい行動ひとつひとつに個性があるから、音楽がなかなか流行らないのだ。
 今の若者の方がよっぽど思慮深いと感じる。物事の本質をよく見ている。意味ない行動はあまり取らない。はちゃめちゃな奴が少ない。これにはイイ面と悪い面がある。公共の場において、周りに迷惑かけるような輩が少ないのは、嫌な気分にならないからいい。逆に、後先顧みずに行動する型破れタイプが少ない。浮ついたばかげた行動で失敗することを恐れてしまうのだろうが、そこが若者のよさでもある。下手に物事の損得や成功率などを真剣に考えるものだから、失敗する確率の高いことを敬遠してしまう。とりあえず、ダメ元でもいいからやってやろうという輩が少ない。要は、何でも緻密に考える分析型が主流のようだ。これではなかなか心のストレッチも難しいだろう。
 ばかげた行動が心の可動範囲を広げる。心が伸びたり縮んだりするから、心に幅ができるのだ。それにより、簡単にはへこまない強靱な心ができあがる。実は、若い頃のばかげた行動というのは、人生においてはムダではない。逆に、思慮深さに欠けて失敗した方が、人間に厚みができる。失敗は人生に華を添える。やはり、アニキ哲学通り、人生には一切ムダなものはないということだ。
 この映画はだだの娯楽映画と思ってみてもよいのだが、当時のばかげた若者の姿も学べる映画でもあるのだ。だからまあ、今、リメイクしても流行らんだろうな。


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